青や赤、白色に輝く小さな魂。天上へとそれを運びながら、セッツァーは気分の悪さに吐き気すら感じていた。
この小さい魂は、生まれて十年と経たない少年のものだった。実の親に命を断たれた、憐れな魂。
天使は人間の善なる感情を好むが、それと反対のものには嫌悪感を抱く。とくに黒翼の天使は感受性に富み、セッツァーにとっては何かに当たり散らしたいほどの苛立ちになっていた。
こんな仕事押し付けやがって、と思いながらも、逆らうことはできない。天使の仕事は、天使の存在意義なのだ。
セッツァーはよく、何故天使というものが存在しているかを考えることがある。人の魂の運び屋、とも言える存在。天使などという名前は後付けでしかない。
「……馬鹿馬鹿しいぜ全く」
そうぼやきながら、セッツァーはただ羽ばたいた。
あなたは天使を信じますか?
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